妹、17歳
私には4人の妹がいる。
今どき珍しい5人姉妹の長女である私は、妹達に対して一部親のような感情を抱いている。
そんな娘の様な妹達の中から、今回は三女について話そうと思う。
お調子者でノリがよく、甘えん坊。
関ジャニ∞では錦戸担。
気分屋なため親との衝突が絶えないが、何だかんだ家族想いのいい奴である。
そんな三女は今、私立高校に通う3年生だ。
進路選択が今後の人生設計に大きく関わってくる大事な時期にも関わらず、我が妹はちゃらんぽらんであった。
勉強をすればそれなりの成績は取れるだろうに、自分に非常に甘い性格が祟って成績は常に下の方。
寝坊をすれば他人のせいにし、少し具合が悪ければ「休む」と三文字で言い放って布団に潜り込む妹は、出席日数ギリギリの問題児であった。
そんな妹が、唯一得意なのが韓国語。
東方神起にハマったのをきっかけに独学で韓国語を勉強し始め、元々耳が良かったのかあれよあれよと上達していった。
そこは姉として大いに自慢出来る所である。
そして、将来の夢として翻訳家の道を志すようになる。
そこまではよいとしよう。
「私、韓国の語学堂(専門学校)に行きたい」
…まだ許容範囲。
「あ、でもお金無いから1年間就職してお金貯めてから行く」
ちょ、ちょ、ちょーっと待って(以下略
学校も気分次第で休む人間が、1年間真面目に働いてお金を貯める事ができようか、いや、できまい。
仮にそれが出来たとしても、バイト代をネットショッピングに使ってしまうような散財っぷりでは貯まるのは領収書くらいである。
とりあえず日本の大学で色々な知識を身に付けたらどうかという提案をしてみたが、「私は韓国語が勉強したいとよ。自分が勉強したくないことを勉強する時間が無駄じゃん」という始末。
あのねぇ、翻訳家になって何を翻訳するかは知らんけど、物語や専門書もその背景や文化を知らなければ翻訳出来んとよ。「わびさび」みたいなその国独自の表現法や言葉もあるからボキャブラリーも無ければ伝えられないし。自分がその時無駄だと思ったことも、仕事では絶対活きていくんだから。色んな知識付けないと。そういう特殊な仕事はなおさらね。
これは私が妹に向けて言った言葉だが、それに対しての妹の返答は
「ん~、やっぱり就職かなぁ」
思わず新喜劇ばりにズッコケそうになった。
しかも、「ん~」のシンキングタイムはわずか5秒程である。
こんなにも姉の言葉が響かないものか。
まさに、暖簾に腕押し。糠に釘。
そんな呑気な妹は、本日三者面談があるらしく風呂へと旅立って言った。
おいおい、大丈夫か妹よ。
浴槽から聞こえてくるのは「EXO EXO~♪」というまた呑気な鼻歌である。
そんな妹の鼻歌をBGMに、妹以上に彼女の進路に頭を悩ませるGW初日の昼下がり。