ちょっとした奇跡が舞い降りた話
2016年1月24日10時55分
メンステの正面にあたるスタンドAブロックの5列目に、月のモチーフのゴールドネックレスと黒のタートルニットで精一杯のオシャレをする女がいた。
私である。
外は吹雪いており、会場の中もまだ寒い。
ペンライトに団扇、タオル、そしてハートのサングラスと必要なものをカバンから出して準備を整えた。
10時57分
何度目かのアナウンスが流れ、そろそろだろうとペンライトのスイッチを入れる。
ふと左を見ると、無数の黄色い光が全く同じ動きをしていることに気付く。
耳を澄ませば彼らのデビュー曲『ええじゃないか』が流れていた。
自然に動き出す体。少しの不安とこれからライブが始まるドキドキを隠すように歌い始めれば、いつの間にか会場がジャス民の歌声に包まれていた。
\もういっかい!/
思ったより大きく響いた掛け声に爆笑の渦が巻き起こる。
一曲歌い終わった後には誰からともなく拍手や喝采が鳴り響いた。
のも束の間、続いて流れた『粉もん』に素早く反応し、「ハイ!ハイ!」「ヨォー!」と踊り歌うジャス民。
心の底から楽しくて、こんな事は初めてで、来た場所も担当も年齢も性別もみんなバラバラな人達が自然に一つになるのを感じ、今までにない感覚を味わった。
そして、暗転。
「みんなの歌聞こえてたぞーーー!」
センターの言葉に早くも会場のボルテージが最高潮に達する。
しかし、その中にはセンターの発言に対する驚きが見え隠れしていた。
それもそうだ、まさか本人たちが聞いていたなんて思いもよらなかったし、聞かせようと思ってしたわけでもなかったからだ。
それから次々にメンバーが開演前の出来事を口にした。
嬉しかったと言ってくれるメンバーもいれば、熱い言葉で返してくれるメンバーもいたし、泣きそうになったとそれを再現するメンバーもいた。
その熱い気持ちに動かされ、会場のリアクションもC&Rもいつもより心なしか大きく感じた。
それを見て更にジャニーズWESTのパフォーマンスにも力が入り、、と相乗効果は止まることを知らなかった。
バナナ型のペンライトもこの時ばかりは忠誠を誓うために掲げたサーベルの様に見えたし、"参戦服"という言葉に相応しく、我々ジャス民も戦いの地へ赴くぐらいの気迫があったように感じる。
MCでもジャス民含めた団体芸が行なわれたり、とにかくジャス民もジャニーズWESTも変なテンションのまま終わったこの公演。
何十年に一度の大寒波がみんなをそうさせたのかは知らないが、終わった後の心地よい疲労感と外の寒さが嘘のような汗を感じて、こんな体験をこれから先何度出来るだろうかと考えた。
意図的ではなく恣意的な出来事だったからこそ、共鳴した時の熱量が大きかったのだろうし、ストレートにジャニーズWESTの心に届いたのだろう。
常々、好きな人の一番になりたいという気持ちから、彼らの発する言葉に敏感に反応し異議を唱える人もいるが、純粋に感じた彼らの喜びをどうか自己中心的な考えで消さないでほしい。
その場にいた人間に言われても説得力はないかも知れないが、楽しい、最高と感じるのは誰でもない自分自身であり、自分が一番だと感じれば誰がなんと言おうとその時が一番なのではないだろうか。
だから、変な対抗心は持たず、自然に身を任せてはどうだろう。
また、神様のイタズラか7人の天使のイタズラか、会場にラッキィィィィィィィが舞い降りて奇跡が起こるかも、知れない。